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コンラッドとの出会い



2004/9/10

  コンラッドの「闇の奥」を知ったのはコッポラの「地獄の黙示録」を見にいったときで、イギリス文学のこともほとんど知らなかった私は「闇の奥」だけの一発屋の作家だったんだろう、と勝手に思い込んでいた。映画の方はとても良かったので、その後DVDまで買った。
  コンラッドについて調べてみたところ海洋小説家である事がわかった。代表作には「闇の奥」「ノストローモ」とあった。海を舞台にした小説はその時まだ読んだことがなかったのでおもしろそうな予感がした。さらにリーヴィス「偉大な伝統」を読んだ時に四人の大作家としてコンラッドが挙げられていたのでコンラッドへの憧れはますます高まった。
  海外の古典文学に興味を持って有名な作品をいろいろと読んでいた頃、本屋で岩波文庫の「闇の奥」を見つけたので買ってみた。ちょうど熱を出していたので頭がくらくらしてただでさえ読みにくい文章が全く頭に入らず、気がついたら密林から出てクルツの恋人のところにおもむく場面だった。もちろん訳がわからなかったのでしばらく手をつけることはなかった。
  イギリス文学の概説書を読んでいてコンラッドの紹介を見つけたが、そこには「ロード・ジム」(ジム閣下だったかも)が載っていた。あらすじを読んで私は興味を持った。情熱的でロマンチックな青年が嵐に恐怖を感じ客を置いて逃げ出す、というのは私には何かとてつもない話のように感じられたのだった。さっそく講談社文芸文庫のものを買って読んだ。これは面白かった。相変わらず読みにくい文章だったが、主人公ジムの考えと行動、それを観察するマーロウの物語に私は考えさせられた。
  本格的にこの小説家を読んでいこうと決意したのは照屋佳男の「コンラッドの小説」を読んでからだった。彼の言うコンラッドの「日常性の哲学」にこれこそ私の求めていたものだ、と思った。特定の観念への盲信であるナショナリズムを批判するオーウェルを好んで読んでいた私にとってコンラッドの追求するテーマは興味深いものだった。また夢見がちだった自分の耳に痛いということもあったが。
  今思い出してみると私のコンラッドとの出会いは憧れが大きな要素を占めていた。若い頃に優秀な船乗りであったことや、上に書いたように理想主義やロマン主義への警鐘を鳴らす彼の小説群が私の嗜好にぴったりとあったのだろう。いまだに読んでないものが多数あるが、これからも読み続けていきたい。このサイトもそれに伴って充実していってほしい。



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