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コンラッドの作品(前期)



Index
■Almayer's Folly
■An Outcast of the Islands
■The Nigger of the "Narcissus"
■Tales of Unrest
■Lord Jim
■The Inheritors
■Youth - A Narrative, and Two Other Stories
■Typhoon, and Other Stories
■Romance



ALMAYER'S FOLLY(1895)
オルメイヤーの阿房宮、蜥蜴の家、東洋のある河のほとりの物語

  記念すべきコンラッドの処女作。航海の傍ら書き溜められたものを刊行したがそのとき既に原稿は黄色い古紙のようになっていたという。
  新人発掘の名手エドワード・ガーネットや、そのときはまだ無名だったジョン・ゴールズワージーらに賞賛された。この後彼は陸に戻り本格的な作家生活に入る。
  ボルネオの川岸に住む白人オルメイヤーは、奥地にあるという金を見つけ、ヨーロッパへと娘ニーナとともに戻るという野望を持つのだが、そこには数々の障害と挫折が待っていた。
  出てくる人物のほとんどが、特定の観念や対象に盲目的な執着を抱いているということが印象に残った。偉大なマレー人の祖先への思い、財産の願望、安楽な日常を固持しようとすること、それらが彼ら同士の理解を妨げているのではないだろうか。ヨーロッパへ移り富を築くという 見込みを絶たれたオルメイヤーは茫然自失のまま死んでしまう。が、裏切って恋人と蒸発した娘を許さず、忘れないと決意したその最期は潔いと思った。彼は最後の最後に、幻想から目覚めたのだろうと思う。


AN OUTCAST OF THE ISLANDS(1896)
文化果つるところ、島々の除け者、島の流れ者、南海のあぶれ者

  『オルメイヤーの阿房宮(Almayer's Folly)』とほとんど同じ舞台、登場人物の長編小説。土人アイッサと白人の関係を描く。H.G.ウェルズに賞賛された。(未読)


THE NIGGER OF THE "NARCISSUS"(1897)
ナーシッサス号の黒人、ナアシッサス号の黒奴

  アメリカの雑誌に発表され、作家スティーヴン・クレインに認められた。
  肺病の黒人水夫ジミー・ウェイトを描く。航海の描写はおもしろかったが、暇があるときにもう一度読んでみたい。


TALES OF UNREST(1898)
  ・KARAIN  カレイン
  ・A MEMORY
  ・THE IDIOTS  白痴
  ・AN OUTPOST OF PROGRESS  進歩の歩哨所
  ・THE RETURN  帰郷
  ・THE RAGOON  潟

  『進歩の歩哨所』を読んだ保守派のなんとかは感銘を受け、それ以来コンラッドと知己を得て生涯の友となったという。この短編集の出版の翌年、「アカデミー誌」賞50ギニーを獲得した。(未読)


LORD JIM(1900)
ロード・ジム、ジム閣下

  ロマンティックで、理想主義的な若い船乗りジムの失敗と、その死を描く小説。ジムは死をも辞さぬ勇敢な船乗りであれと心掛けていたが、客を見捨てて沈みかけた船から逃げ出すという失態を犯す。しかも船は助かったため、彼の汚名はアジアの白人達に遍く知られることとなる。
  その後彼は奥地の村でアラブ人の盗賊を倒し、この村の世界で理想的な人間になろうという野望を抱くが、結局外部からの侵入者ブラウンとの戦いで族長の息子を死なせ、責任をとって族長に処刑される。
  理想の姿、あるべき人間像というものに眼がくらんで、厳しい現実の前に挫折するジムの生き方には身をつまされる。そんなジムを老マーロウは共感と批判の入り混じった複雑な感情で語る。
  この点でこの作品は『青春』にも通じるところがあるかもしれない。


THE INHERITORS(1901)
相続者、後継者

  フォードとの合作。コンラッド唯一のSFらしいが、詳細は不明。(未読)


YOUTH
- A NARRATIVE, AND TWO OTHER STORIES(1902)
  ・YOUTH  青春
  ・HEART OF DARKNESS  闇の奥
  ・THE END OF THE TETHER  追いつめられて

  『青春』は初期に書かれた作品で海を舞台に青年達の活躍を描くロマン的な作品である。老いたマーロウが気の置けない友人と卓を囲んで若き日の冒険を物語る。次から次へと起こる問題、気まぐれな海の動き、そして人間味溢れる乗組員とおんぼろ船の話は大変面白くユーモアもあり、一気に読んでしまった。
  語り終えた後、マーロウ一同は過ぎ去った青春を懐かしみ、また再びそれを生きることはできない寂しさにとらわれる。コンラッドの小説でもかなり読みやすいものでないだろうか。
  原文で読んでみたところ、すでに忘れていたいくつかの挿話も思い出した。出発からたびたび壊れるジュデア号は、最後には積荷の燃料が爆発することで沈んでしまう。その船はマーロウの生まれる前から動いていて、ついにその一生を終えたのだった。若き日のマーロウはそこで青春の終わりについて考えたに違いない。それを語る老齢のマーロウも、自らの過ぎた青春を悲しんだことだろう。
  途中、船の故障により一行は港でしばらく留まってしまう。何ヶ月もの足止めにより船員は町の子供にも「いつバンコクにたどり着くのか」とからかわれる始末で、マーロウは歯がゆい思いをする。勤勉の志と、未知の東洋への憧れという彼の文学の要素がここではわかりやすく現れている。
  コンラッドはこの作品で生き生きと海と自然を描いている。それは英語で読んでも見事なものだと思う。イタロ・カルヴィーノによれば彼の作品群はその散文としての完成度でスティーブンソンなどに並べられるという(うろ覚え)。なるほどそれも納得だ。

  『闇の奥』は言わずと知れた代表的作品である。マーロウという老船員を通してジャングルの奥深くへと潜る男の物語が語られる。暗い密林を遡行していくにつれ彼は大英帝国の偽善と人間性の闇に気付いてゆく。
  私が初めて読んだコンラッドの小説。不気味な密林と、奴隷にされた黒人の行動、出張所にいるいろいろな白人達、そしてマーロウの心理が、渾然一体となって小説を構成している。ひたすら見通しのきかない道を進むように、話の進行もわかりにくく、混乱する。もっともこれは私のあたまが悪いだけかもしれないが。
  クルツは傑物であると言われていたが、ジャングルの奥で変わり果てていた。彼は結局「戦慄!戦慄!」という言葉を残して死に、マーロウは再び元の世界へ戻ってくる。彼は「闇の奥」からなんとか逃れられたということだろうか。そういえば、奥地へ向うはずだった船もすぐに壊れている。



TYPHOON, AND OTHER STORIES(1903)
  ・TYPHOON  台風、颱風
  ・AMY FOSTER(JANKO GORAL)  エイミィ・フォスター
  ・FALK  フォーク
  ・TO-MORROW

  『台風』は船を襲いかかる嵐との戦いを通して船員の人間性を描く作品。鈍感な船長と、情熱的なジュークスら、個性的な人物の心理が克明に書かれている。   荒れ狂う海の描写が秀逸だ。


ROMANCE(1903)
ロマンス

  へファーとの合作。(未読)





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