YOUTH
- A NARRATIVE, AND TWO OTHER STORIES(1902)
・YOUTH 青春
・HEART OF DARKNESS 闇の奥
・THE END OF THE TETHER 追いつめられて
『青春』は初期に書かれた作品で海を舞台に青年達の活躍を描くロマン的な作品である。老いたマーロウが気の置けない友人と卓を囲んで若き日の冒険を物語る。次から次へと起こる問題、気まぐれな海の動き、そして人間味溢れる乗組員とおんぼろ船の話は大変面白くユーモアもあり、一気に読んでしまった。
語り終えた後、マーロウ一同は過ぎ去った青春を懐かしみ、また再びそれを生きることはできない寂しさにとらわれる。コンラッドの小説でもかなり読みやすいものでないだろうか。
原文で読んでみたところ、すでに忘れていたいくつかの挿話も思い出した。出発からたびたび壊れるジュデア号は、最後には積荷の燃料が爆発することで沈んでしまう。その船はマーロウの生まれる前から動いていて、ついにその一生を終えたのだった。若き日のマーロウはそこで青春の終わりについて考えたに違いない。それを語る老齢のマーロウも、自らの過ぎた青春を悲しんだことだろう。
途中、船の故障により一行は港でしばらく留まってしまう。何ヶ月もの足止めにより船員は町の子供にも「いつバンコクにたどり着くのか」とからかわれる始末で、マーロウは歯がゆい思いをする。勤勉の志と、未知の東洋への憧れという彼の文学の要素がここではわかりやすく現れている。
コンラッドはこの作品で生き生きと海と自然を描いている。それは英語で読んでも見事なものだと思う。イタロ・カルヴィーノによれば彼の作品群はその散文としての完成度でスティーブンソンなどに並べられるという(うろ覚え)。なるほどそれも納得だ。
『闇の奥』は言わずと知れた代表的作品である。マーロウという老船員を通してジャングルの奥深くへと潜る男の物語が語られる。暗い密林を遡行していくにつれ彼は大英帝国の偽善と人間性の闇に気付いてゆく。
私が初めて読んだコンラッドの小説。不気味な密林と、奴隷にされた黒人の行動、出張所にいるいろいろな白人達、そしてマーロウの心理が、渾然一体となって小説を構成している。ひたすら見通しのきかない道を進むように、話の進行もわかりにくく、混乱する。もっともこれは私のあたまが悪いだけかもしれないが。
クルツは傑物であると言われていたが、ジャングルの奥で変わり果てていた。彼は結局「戦慄!戦慄!」という言葉を残して死に、マーロウは再び元の世界へ戻ってくる。彼は「闇の奥」からなんとか逃れられたということだろうか。そういえば、奥地へ向うはずだった船もすぐに壊れている。